海外取材コラム「ホーチミン日本人学校訪問レポート」
2006年7月に投資法・企業法が施行されたことと、2007年1月に世界貿易機構(WHO)の加盟国となったことで、経済活動が活発化したことを背景に、社会主義国家でありながら年5%前後の経済成長を続けるベトナム。日系企業の進出、投資もそれに伴って年々増加してきました。外務省の統計資料によれば、2008(H20)年10月1日現在の在留邦人数は、7036人(国別20位)で、対前年度25%の伸びを示しています。2004(H16)年が3877人(同24位)であったことからすると、5年間で80%以上もの伸びです。
「ホーチミン日本人学校」は、1997(平成9)年に、日本国総領事館付属校として開校しました。開校から12年目の今年(平成21年度)は、小学部182名、中学
部37名、合計219名の在籍生を有します(学校HPによる)。日系企業の旺盛な進出にしたがい、在籍児童数も、H18年が小中あわせて116名であったのが、H20年には200名を超えるまで急速に増えています。また、ホーチミン在住の日本人子女では、補習授業校や国際学校に通う児童・生徒数も合わせた人数が、H18年の116名に対して、H21年度が478名となっており、ここからも、ここ数年の急激な増加がわかります。
今回は、横浜国立大学教育人間科学部国際共生社会課程2年に在籍する米田織人くんが、ホーチミン日本人学校を訪問し、その様子をレポートしてくれましたので、みなさまにご紹介したいと思います。
「ホーチミン日本人学校訪問レポート」
レポーター:横浜国立大学教育人間科学部国際共生社会課程2年
米田織人くん
わたしは、大学で「国際共生社会課程」を専攻しています。大学には留学センターがあり、多数の留学生がいます。なので、自然と友人になれます。その中に、ベトナム人の友人もいるので、今年(2009年)長期休暇を利用して、ベトナム・カンボジアを訪問してきました。ベトナムでは、ホーチミン、ハノイの各都市と周辺地域を訪れましたが、はじめて訪れたベトナムは、予想以上に近代化していて驚きました。しかし、街中バイクだらけ。交通規則も徹底していないので、旅行で訪れた日本人にはかなり危険な状態です。
さて、今回の旅行では、かねてから、海外で暮らす日本人の子どもたちにも興味があったので、この機会に、ホーチミンの日本人学校を訪問させていただきました。渡航前に、インターネットで、日本人学校のホームページから、訪問希望のお願いをしたところ、ご快諾いただくことができました。
ホーチミンの日本人学校は、市街地から南にある、七区にあります。周囲にはインターナショナルスクールなどもあり、街中の喧騒とは違って、静かな落ち着いた環境にありました。生徒たちは、毎日、スクールバスで送迎してもらえるので、交通の面でも安全ですし、学校は24時間体制でセキュリティーが強化されていて、保安に十分な配慮がされていることを感じました。
人数は、小学生が180名、中1が15名、中2が9名、中3が4名と、小学生が圧倒的に多いのに驚きました。聞くところによると、中学生になると高校受験のために、帰国する子たちが多いということです。ご両親は、子どもがだいたい小学校から中学校に上がる時点で、いつ頃日本に帰るのかを決めるそうです。確かに、受験の準備をするには、海外にいてはたいへんだろうなと思います。日本人学校で受験指導はしませんし、塾や家庭教師もあるそうですが、なかなか日本と同じというわけにはいかないでしょうから。中学卒業後も現地に残る場合には、日本の高校はないので、インターナショナルスクールに進学するしかありません。そうした生徒さんは少数だとのこと。ですから、中2、中3までホーチミンにいるほとんどの子どもたちは、春、夏、冬の長い休みの間に、一時帰国して日本で塾に通うなどして、受験に備えているということでした。
子どもたちはとても元気で、日本国内の学校の雰囲気とあまり違いは感じませんでした。海外の学校でよいなと思った点は、小学校1年生から週3時間の英会話の授業があることです(中学は週2時間)。人数も少ないので、習熟度も高いようです。それから、日本の伝統行事もちゃんと取り組んでいて、「七夕集会」なども毎年行われているようです。また、修学旅行はハノイへ行ったり、自然学校でムイネーに海水浴に行ったり、日本にいてはなかなかできない体験があることも、子どもたちにとってはかけがえのないものになるのではないでしょうか。
少し残念だなと思ったところは、日本のように図書の数が多くない点でしょうか。海外に長くいると、日本のこともなかなか勉強できる時間がないでしょうから、本が充実するとさらによいでしょうね。しかも、ベトナムのインターネット環境は、まだまだよくありません。パソコンは40台ほど設置されていましたので、ネット環境がもっとよければ、書籍の不足を補うことにも貢献できるでしょうから、一日も早くベトナム全体のネットインフラが整備されるべきでしょう。社会主義国会ですので、そこは難しいのでしょうか。
最後に授業料等についてですが、入学金500ドル、授業料が400ドル、ほかにスクールバス使用料が50ドル(いずれもUSドル)などが必要になります。

