編集後記
今回は、マニラ在住で、まだ8カ月から4歳までのお子さまをお持ちの、3名のママにお集まりいただき、教育面を中心に、現地での子育て・幼児期の過ごし方と将来像についてお話をお聞きしました。
これまでの海外歴も、これからの予定も異なり、したがって、どうお子さまの将来像をいだくかという点でも、当然、三者三様でした。これは、もちろん、なにも海外赴任の方に限ったことではないでしょうけれども、海外にいるからこその状況の違い、悩みが存在するということは改めて実感しました。
日本国内から海外在住の方をみたとき、「英語が勉強できていいなぁ」と素朴に羨望をいだく方も多いと思いますが、赴任地や、帰国の時期、帰国地によって、子どもたちの教育にとって、ベスト(ベター)な環境というのは、1人ひとりの状況によってまったく異なります。
マニラは、非英語圏(英語を母語としない国)ですが、幸いなことに、英語の教育環境は、日本をはじめ他のアジア各国と比べても、ひじょうに整っていると思われます。インタビューにあるように、英語による幼稚園もインターナショナルスクールも充実しているうえ、
現地の人たちも、日常英語をほとんどの人が話します。そうなると、非英語圏でありながら、英語を学ぶ環境として優れていて、逆に、英語を重視していくか、帰国後の日本語力のための学習を重視するか、これも選択肢ひとつで、その子の将来を大きく左右しかねないということになるのです。
慎重にならざるをえません。
また、今回の取材で感じたことは、インターネット環境は飛躍的に発達しましたが、まだまだ国内の情報は、海外には伝わりにくいんだなという点と、口コミ情報もある意味デフォルメされたり、個々のケースが一般化されてしまったりということが否めないということです。
こちらが逆取材を受けたことがらも結構たくさんありました。もっとも、受験に関しては、今回のお母さまたちにとっては、まだまだ先のことですが、帰国子女にとっては、その「まだまだ先」のことまで見つめて、ミスリードしない子育てがもっとも大事だとわたしは思います。
正しく、より新しい情報を得て、我が子にあった取捨選択をしないと、帰国後に思いもよらぬ苦労をさせることになるのではないでしょうか。
さらに、もっとも印象に残ったのは、「家庭内でのコンセンサス」の重要性でしょうか。
ご主人と意見が異なることも、それは個々人の考え方の相違ですからしかたがないことだと思いますが、選択肢が多岐にわたるからこそ、よりよき方向性を見極めなければならないですし、そのためには、早い時期から教育の将来設計を見据えておいてほしい。
だからこそ、確かな情報を得てそれを基に、家族のコンセンサスをしっかり確立することも、殊に海外子女の場合には必要なんだなと感じました。
※ 中川さんのご主人は、ご主人がマニラ出身で、高校受験までマニラ日本人学校に在籍。早稲田本庄高等学院から早稲田大学を経て、10年前に現地企業のオーナーに就任されたという稀なケースの方です。したがって、子育て観や、日本人観、インターナショナル観も、独特のものをお持ちなので、中川さんご夫妻のインタビューは、別途、特集でお届けしたいと思います。
海外子女教育支援室 須藤孝行

